SS DAY 2020 米づくりのご案内

2022年1月13日

スモールスタート学部は2020年3月から11月まで毎月2回「スモールスタートの日」(小さなことを始める日)とし、米づくりや焚き火、セルフリノベーションなどをして遊ぶ日にします。スモールスタートの日、略してSS DAY(エスエスデー)と呼んでください。

今回はSS DAYの中の「米づくり」についてご案内します。

日本人ならほぼ毎日お米を食べている方が多いのではないでしょうか。スーパーで買えばそれで済みますが、米づくりの小さな世界に現代の大きな問題を解決するヒントがたくさん詰まっているような気がしています。

日程などのイベント概要については、このページの下のほうに書いてあります。 このページには小規模な米づくりをやる意義を書いていますが、環境や教育、働き方、栽培方法などには興味がない方は、どんどん読み飛ばしてくださいね。

里山に囲まれた田んぼ

田んぼは木更津市矢那の谷津(やつ)の中にあります。谷津は地域によって谷戸(やと)、谷地(やち)などとも呼ばれ、里山に囲まれた谷のことです。谷津にある田んぼを谷津田(やつだ)と言います。谷津田には里山からの水が集まり、一年中水が湧き出ています。その水には落ち葉などが分解されたミネラルが豊富に含まれているそうです。
長く耕作されていなかった田んぼを再び開墾し、今年から向かいの田んぼも活動地に加え、2箇所で米づくりをします。
木更津駅から車で15分、都心からでもアクアラインで1時間ちょっとで来れる場所です。

冬水(ふゆみず)田んぼ

コンバインなどの機械が入る田んぼでは、稲刈りの前に田んぼの水を抜き、冬の間は土を乾かしますが、ここは水が豊富なので、冬期湛水(とうきたんすい)という冬でも水を入れて耕さない農法(不耕起栽培)でやっています。大量生産はできませんが、耕すための手間やエネルギーは使わなくて済みます。

自然な農法

化学肥料や農薬を買うと、そのぶんお金がかかりますし、なんだか余計な心配が増えるように思います。使わなくて済むのなら、使わないほうがいいですよね。 稲作は化学肥料や農薬が世の中に出回る前から行われていたのですから、使わなくても大丈夫なのは当然と言えるのかもしれません。養分は里山に供給してもらいましょう。

種をつなぐ

人はお米を食べるために稲を栽培します。稲は何のために、人にお米を食べてもらうのでしょうか。稲は人に種をつないでもらえると期待をして、おいしいお米を差し出しているのかもしれませんね。稲の期待に応えるためにも、できるだけ自家採取(昨年穫れた籾米を種にして栽培する)をしていけたらと思っています。
種は世代交代を繰り返し、環境へ適応していくと言われていますので、種をつなぐことで、この谷津田の気候・水・土になじみ、よりたくましく、よりその土地の人にもあったお米になってくれるような気がします。

ほかの生き物と共生

里山に囲まれた田んぼで、冬に水を張り、農薬を使わず、ほどほどに手入れをしていると、希少な生き物がたくさん棲みはじめるようです。ここの田んぼの周りには千葉県のレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)に載っているようなシャジクモ、ゲンジボタル、アカガエル、モリアオガエルといったような希少な生き物がたくさんいます。できるだけほかの生き物の邪魔をしないようにしながら、ここでお米を作らせてもらっています。
ただ、この近くに棲んでいるイノシシだけは田んぼを破壊してしまうので、田んぼだけには入らないように柵をさせてもらっています。イノシシともうまく共生していけたらいいですね。

家庭菜園の延長

大型漁船が存在しても、釣りをする人がいます。大規模農家がいても、家庭菜園をする人がいます。どちらも後者はあまり生産性を求めていません。ここでの米づくりは、それと同じです。お米は農家さんにつくってもらうもの。それも合っていますが、自分でつくってもいいのです。生産性を求めることのいい面は言うまでもありません。生産性を求めないことのいい面は、プロセスを愉しむことができる点です。両方あったほうがいいと思います。
なによりも、自分の手で作ったお米を食べてみたいという好奇心に勝る理由はありません。

栽培品種

お米には「うるち米」と「もち米」があります。それぞれたくさんの品種があり、うるち米と言われている中にも、もち米を交配させてできた品種もあります。コシヒカリなど、ねばりのある品種がそれです。

平成30年の日本のうるち米の作付割合を見てみると、1位のコシヒカリ 35%を筆頭に、もち米を先祖に持つ品種ばかりが並んでいます。

公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
平成30年産 水稲の品種別作付動向について

https://www.komenet.jp/pdf/H30sakutuke.pdf

その理由は人気が高く、栽培しやすいからでしょうか。甘くもちもちしたご飯はそれだけでもおいしく感じます。ただ、もち米の要素を多く持つ品種は、持たない品種に比べてお米アレルギーを引き起こしやすいと言われています。そういう意味では、たとえ栽培しにくくとも、もち米を先祖に持たない品種などもあったほうが、選択肢が増えるのではないでしょうか。おかずを引き立てるあっさりとしたお米、炊きあがりの香りがいいお米、いろいろあってもいいですよね。

生産性をあまり求めないこの米づくりでは、たとえ栽培しにくいと言われている品種でもいいのです。できるだけ交雑しないように考えていますが、それも私たちが住む世界です。そのうちに自然に交雑してしまったとしても、自給用ですから良しとするかもしれません。共に生きる種なので、人のほうもその種に慣れていくのかもしれません。

令和2年はササニシキ・イセヒカリ・赤米の神丹穂(かんにほ) の3種を予定しています。収穫できたら、食べ比べをしてみましょう。

個性を生かし、作業を愉しむための道具

田植え機やコンバイン、穀物乾燥機は大変便利な機械ですが、高価で維持にもお金がかかります。だいたいは一人でも作業ができます。
ここでは、田車、足踏み脱穀機、唐箕といった昭和初期~中期に作られた道具を使います。一人では大変なので、仲間と協力しあわないといけません。生産性はほどほどにして作業を愉しむのには、これくらいで十分かな思ってます。丈夫にできているので、なかなか壊れませんし、ちょっとくらい壊れても自分で直せそうです。

古いデータですが、機械化・大量生産が進むにつれ、米の生産によって得られるエネルギーよりも、米の生産に投入する石油エネルギーの量のほうが多いという調査研究があります。
http://seneca21st.eco.coocan.jp/working/yuyama/08_02.html

現在は省エネ化や自然エネルギーへの転換により改善されてきていると思いますし、食べられない石油エネルギーを食べ物に変えるということに意味がないわけではありません。ただ、米を作れば作るほど、化石燃料を消費して環境負荷が高まるというのは、なんだかちょっとだけ残念ですよね。持続可能な方法として、先端技術だけでなく、中間技術・適正技術を探っていくために、人との関係や昔の道具を見直してみるのもいいのではないでしょうか。

半自給の輪を広げたい

耕作をしなくなった農地をそのままにして、生き物が棲める自然な状態に戻すというのもアリでしょう。一方、栽培をせず、草を刈っているだけという農地も見られます。そういうところは使いたい人が借りて、土を痩せさせずに有効活用し、次の世代へとつないでいくほうがよいと思うのです。とは言え、実際にやってみないと、管理しきれるか判断がつきません。このスモールスタートをきっかけに経験を積み、自ら農地を借りて米づくりをはじめるような人が増えていったら嬉しいです。
完全に自給するところまでは至らなくても、できることからやる意義はあると思います。

大変な作業こそ愉しく

田んぼの雑草を取り除く作業(田の草取り)は大変な作業と言われますが、大きな面積でなければ、風や虫、鳥の声を聞きながら、心地よい疲労感に包まれます。
お昼はみんなでご飯をつくって、一緒に食べます。ワークソングを歌いながら作業をしたり、 流しそうめんの竹を切ったり、薪でごはんを炊いたりなど、里山でしか味わえないたのしみを共有しましょう。
田んぼ作業のワークソングを3曲つくっています。今年はそのCDをリリース予定です。ミュージシャンに田んぼへ来てもらい、演奏してもらう機会もつくりたいと思います。おたのしみに!

おいしい食事・健康・遊び・学び・社会活動・災害への備え・仲間づくりを一挙多得

ここでの米づくりは遊びでもありますが、いざというときは生きる術となります。自然を感じながら、環境を守りながら、体を動かし、健康を得る。この経験をたのしめたら、自然を守りたい、食べ物を大事にしたいと、自然に思うようになるのではないでしょうか。
ガンジーはこう言っています。
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文字は、子供が小麦と籾殻とを区別することをおぼえ、自分で味覚をいくぶん発達させてからのほうが、ずっとよく教えられるのです。
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学ぶことの意義を知ること。主食を少しでも自給できる技術を習得する安心感。フードマイレージを下げるための一歩。耕作放棄地の整備・活用という課題の解決。災害に備えてのサバイバル演習。田舎暮らしのお試し。仲間との語らい。などなど。
参加する意義を、ご自身で見出してみてください。

お気軽にお越しください

SS DAYは小さなことを始める日です。 主催者も数年前までは、米づくりなんてしたことがありませんでした。今でも探りさぐりやっています。人見知りでも、体力に自信がなくても、一日一緒に作業をして、一緒にご飯をつくって食べていれば、そのうちにそんなことはどうだってよくなります。ただここに来るだけでも、スモールスタートです。送迎・昼食材料代込みで、一日遊んでこのお値段(^^)。都心からでも、ご家族・お子様連れでも来やすい参加費にしてあります。

2020年 米づくりの予定

※日程変更の場合あり。悪天候のときは原則、翌日に順延。

3/20(金・祝)あぜ修繕・予祝
4/18(土) 種まき
5/16(土) あぜ塗り・代掻き
5/30(土) 田植え
6/13(土) 田の草取り
7/18(土) 田の草取り
8/ 1(土) 田の草取り
9/19(土) 鎌研ぎ・藁ない
10/10(土) 稲刈り
10/24(土) 脱穀
11/ 7(土) 収穫祭

全11回
各回 10:00~16:00
この日程のほかに別途、田んぼ周りの管理作業のボランティアを呼びかける場合があります。

参加費(昼食材料 ・送迎代込)

各回一人 1,500 円(同伴家族1名 追加 500 円)
未就学児は無料
※イベント内容によって変更の場合あり。
※送迎は木更津駅、かずさアークより可能。

チラシ

お申込み

・各回ごとにイベントページを作成し募集しますが、下のフォームより複数回まとめてのお申込みも可能です。
・お申込み、キャンセルは開催日の2日前までのご協力をお願いします。
・順延の場合は、前日18時までにご連絡します。
・お支払いは各回ごとに当日現金払いでお願いします。
・全11回にお申込みの方は、1回分割引いたします。